35_フィルム再生術
|
2005/12/23記 |
■古い35_カラーネガの再生 |
|
●カメラ屋さんのネガシート(フィルムシート)の中に入れたまま、ずっと押入れの中に眠っていたネガを引っ張り出してみました。古いと言っても、まだたったの25年前。このままじゃあ、ネガも可愛そう。(写真をクリックすると、そのひどさ加減がわかります。)
再生方法は、ネットで探すと、2つの方法が紹介されていました。
@カメラ屋さんで売っている「フィルムクリーナー」を使う方法。
Aイソプロピルアルコール(元素記号:(CH3)2CHOH)を使う方法。
さあ、蘇れ25年前のネガフィルム!! |
■準備するもの |
|
【写真上から】
@古いネガ:まずは、失敗しても良さそうな物を選ぶ。大切なネガは、ある程度うまくいくようになってから手がける。(残念ながら、最初からうまくはいかないです。)ちなみに、手に持っているのは、ポジフィルムです。
Aフィルムクリーナー:写真奥に写っているのは、堀内カラーの「HCL FILM クリーナー」。ヨドバシカメラには、この1種類しか在庫していなかった。(60mlで約700円。)成分表示にはシリコーン系溶剤、アルコールとしか明記してありません。
B白いアクリル板:ネガを置く台にする。白だと、キズも見えると思うので購入。(100円ショップのホワイトボードで代用した。)
【写真中より】
@ブロアー:最近は、殺虫剤みたいなエアーブロアーもあるが、手動で十分。私は、2種類のブロアで使い分けています。目に見える埃は、毛の付いている奴で飛ばし、仕上げに手りゅう弾みたいな奴で、2〜3噴きする。
A白い手袋:ネガを触れるときには、これで。手袋をすると、フィルムをやさしく扱おうという気持ちにさせます。ちなみに静電気防止用をセレクト。
B綿棒:少量のアルコールを落とすときに便利。
Cレンズクリーニングペーパー:めがね拭き用のトレーシーでも良いが、何枚も使うので、使い捨てのペーパータイプで、ボックス入りが使い易い。(堀内カラーで、約650円。)
【写真下】クリーナー各種
@イソプロピルアルコール(50%):左の大きいビンがそれ。頑固なよごれには、こいつを使う。薬局に置いてある。が、マツモトキヨシには無い。病院の横の調剤薬局で求める。(注射を打つときの消毒薬です。有臭。)(たったの、360円)
@’イソプロピルアルコール(99%):中央のボトルは、ガソリン車の水抜き剤で、ガソリンスタンドで購入(500円)。無臭。 |
■クリーニングのいろは |
|
まずは試しに「没」にしても良いコマを選んでやってください。
●表面(つるつるしている方)
1回目は、クリーナーを2滴たらして(多めがよい)、レンズクリーニングペーパーで円を描くようになじませる。フィルムからはみ出した液は、乾燥する前に拭き取る。
2回目も、同様の作業を繰り返す。結構、強めにこすっても平気。この時、一番注意しなければいけないことは、台とフィルムがずれてこすれることでキズが付くこと。慎重に行う。
3回目。状態を見ながら2回で良いか、3回やるかは決めてください。3回やればほぼ完璧になります。
●裏面(感光乳剤面)
カビはほぼ表面に多く付くが、ネガシートの圧着の跡は、乳剤面にだけ見られます。(何でだろ?)
こちらは少し厄介である。と言うのは、乳剤面はクリーナーをたらすと、粘り気が出てきてドロっと解ける感じです。(堀内カラーのクリーナーでは解けないが、イソプロピル50%液が一番解ける。)素早く拭き取らないと、ペーパーの繊維質がフィルムにくっつきます。
表と同じ作業を、1回だけ行いますが、多少強めにやるのがこつ。乾燥までに、5分程度かかります。
●仕上げ
クリーナーは、1滴で十分。両面を行う。きれいに拭き取るのがポイント。蛍光灯に透かして見るよりは、反射させて仕上がり程度を見るとよく分かります。(特にルーペは必要ありません。)
|
■蘇った、25年前のネガ |
|
●左の写真を見てくれる(クリックで拡大します)とよく分かります。
ほぼ100%の圧着跡が消えました。作業時間にして、2〜3コマで15分程度でしょうか?慣れればもう少し早く仕上げると思います。と言っても、慎重にやらないといけないので、それなりの時間はかかります。
大切な写真(ネガ)ですから、これぐらいの時間は仕方ないかな、と思います。
|
■おまけの一枚 |
↑上:処理前 ↓下:処理後
|
●写真上は、処理前(1979年の35_カラーネガです)。
全体的にべっとりと曇った感じです。古いネガには、こんな感じの状態のものが多く見受けられます。
●写真下が、処理後。
どうですか、青空の部分もすっきりした晴れた空に変身しました。
※さあ、これからが本番。この年末年始の休暇を使って、ネガの再生が始まります。
今回のような症状には、イソプロピル50%が一番適していました。但し、くれぐれも換気にも気を付けてください。たぶん、イソプロピルアルコールは有害な液体なので臭い(消毒臭)を付けてあります。
(追記)富士写真フイルムお客様コミュニケーションセンターで、この手の質問に対して、非常に親切な対応をして頂けます。その方の注意点として、「余り無理にクリーニングをすると乳剤面の画像層がダメージを受ける恐れも有ります。」とのことでした。同様にカメラのきむらでも、乳剤面にはほとんど使用しない、と言っていました。 |
|
|